執筆者
さの内科循環器クリニック
院長 佐野 浩之
経歴
- 2008年川崎医科大学 医学部 卒業
- 2008年川崎医科大学附属病院 臨床研修医
- 2010年六甲アイランド甲南病院 循環器内科 勤務
- 2013年神戸大学医学部附属病院 循環器内科 勤務
神戸大学大学院医学研究科(博士課程) - 2017年愛仁会 高槻病院 循環器内科 勤務
- 2018年愛仁会 高槻病院 循環器内科 医長
- 2025年4月さの内科循環器クリニック 開業
失神とは、一時的に意識を失う発作であり、自然に回復して後遺症を残さないものを指します。高齢者では年間1〜2%程度が経験するといわれていますが、転倒や外傷として見過ごされているケースも多く、実際にはより多い可能性があります。
意識は、脳幹と大脳の働きによって保たれています。これらの部位に十分な血流や酸素が供給されなくなると、一時的に意識が失われます。多くの場合、急激な血圧低下や心拍の異常により脳への血流が不足することが原因です。
血管迷走神経反射は最も多い原因で、痛みや緊張、長時間の立位、脱水などをきっかけに血圧や脈拍が低下し、脳への血流が一時的に不足して起こります。顔面蒼白、冷汗、吐き気などの前兆を伴うことが多く、横になることで改善します。
頸動脈洞反射は首への刺激によって血圧や心拍数が低下するもので、高齢者に多くみられます。ネクタイの締め付けや首への圧迫が誘因となることがあります。
起立性低血圧は立ち上がった際に血圧が急激に低下する状態で、めまいや失神を引き起こします。脱水や自律神経障害、薬の影響などが関係します。
不整脈による失神は、突然起こることが多く、前兆がないのが特徴です。脈が極端に遅くなる徐脈や、速くなる頻脈により血流が維持できなくなり、失神に至ります。特に心室頻拍や心室細動は突然死の原因となるため注意が必要です。
心臓弁膜症(大動脈弁狭窄症)や肺塞栓症などでも、血流が障害されることで失神が起こることがあります。これらは命に関わる可能性があるため、早期の診断が重要です。
てんかん発作では脳の電気活動の異常により一時的な意識消失が起こります。けいれんを伴わないこともあり、特に高齢者では失神との区別が重要です。
失神が起きた場合は、まず横になり足を少し高く上げることで脳への血流を保ちます。吐き気がある場合は顔を横に向け、衣服をゆるめて安静にします。意識が戻らない場合や回復が遅い場合は、速やかに救急要請が必要です。
多くの失神は一時的な血圧低下によるものですが、次のような場合は注意が必要です。
これらは、心臓や脳の病気が隠れている可能性があります。
失神の原因を正確に見極めるためには、発症時の状況や持続時間、周囲の方が見た様子などの情報も重要になります。
神戸六甲道のさの内科循環器クリニックでは、循環器専門医が原因を丁寧に見極め、必要に応じて適切な医療機関と連携しながら診断と治療をおこないます。気になる症状がある場合は、お早めに当院までご相談ください。
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